1999年以後 ヒトラー予言 五島勉

俗にヒトラー予言としてまとめられている五島勉のこの著書は、三島由紀夫に五島が取材に行くところから書き出される。その三島由紀夫は、三島事件憲法改正の必要性を訴えながら死んだ。三島由紀夫という男は、戦時下の言論弾圧の中、満足に物書きもままならなかったのが、敗戦に伴うGHQ占領政策のおかげで自由となり、晴れて作家三島由紀夫としてデビューを果たした。いわばアメリカのおかげで今日に至るまで名を残した男の遺言が、改憲だというのはまったく皮肉である。

 

五島勉の先見性は、今では誰しもが内心思っている、戦後日本の腐敗は女性の社会進出が原因であり、女性の社会進出を推奨すればするほど国家は滅亡に向かう、というのを予言したことにあり、

 

同時に、二極化が進む。

 

ことに言及していることにある。著書の主題を借りれば、1999年以後二極化が進む。というのが本筋だ。

 

非モテとモテの構造は、要するに勝ち組と負け組であり、それはひいては、金持ち父さんと貧乏父さん、さらに行き着くところは劣等遺伝子と優等遺伝子に人間を二分化し、より優れた人間を創造するというナチズムに行き着くのである。

 

2024年だが、このナチズムの推進を世界が奨励している。女性の社会進出をもってなにをするのかというと、より遺伝子的に優れた、選抜された優れた男性、優れた女性を人為的に創造し、優れた国家、選ばれた人間による選ばれた人間の為だけの理想の楽園を作ろうというところに行き着く。

 

それがなぜかというと、それが民主主義という新たな帝国主義の行き着く果てだからだ。つまり、民主主義という政治には欠陥がある。優良人種が、下等人種の為に働かなくてはならないという欠陥がある。だから遺伝子的に愚かな人間を生まれる前から消してしまおう、ありとあらゆる手段を用いて消して、本当に平和な世界を作ろう、そういうことを本気で考えている。

 

ヒトラーが戦争をしたのは、遺伝子的に優れたアーリア人が、世界人類を直接支配し指導し、ナチス式の健康学や教育を施せば世界が平和になるという狂気が原因だ。

 

世界は、ヒトラーのような明瞭な個人が存在しないだけで、ナチズムに汚染されている。

 

だから、2024〜2044年という20年後の未来は簡単に推測できる。より勝ち組と負け組の差が深刻になり、2024年時点では勝ち組に属せていた人間も20年後の未来には負け組に属するようになる。少子高齢化の同時進行は、より勝ち組と負け組の二極化を激しくさせる。